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蓮台寺荘は閑静な下田蓮台寺温泉にある温泉宿。小説家の山本周五郎ゆかりの宿であり、大人の隠れ家的な雰囲気が漂う。時を重ねた木造建築だからこそ放つオーラというものであろうか、日本人の心の琴線を揺さぶるノスタルジーにあふれ、昭和初期の名工たちが粋を凝らした匠の技を現代に伝える。
残念ながら、平成28年3月末で閉館。昭和の香りを残す名旅館がまたひとつ消えてしまった…
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閑静な蓮台寺温泉であるが、一際、宿は静かさに包まれている。車道から宿までが適度に離れ、外界の音を遮断する距離感がとても良い。「空間のゆとり」古き日本建築の建造物に見られる特徴であるが、ある意味贅沢なこと。
宿の玄関に進むと観光用の人力車が目に留まる。別料金(80歳以上の方は無料)になるが、人力車で史跡案内をしてくれるそうだ。40男の私では様にならないが、女性やシニアの方ならば、蓮台寺の狭い石畳の路地を人力車で揺られ散策する姿がよく似合うだろう。
宿の中は良い意味で想像とは違った。きれいにリニューアルされ、とても築80年の建物とは思えないほどモダンである。和モダンというよりもレトロモダン(矛盾した言葉であるが…)という言葉がしっくりくる。古さの中にどことなく新しさを感じる。そんな情景が広がっている。
館内は2階建ての本館と、4階建ての別館がある。本館1Fのパブリックスペースはリニューアルされ、木造家屋らしい落ち着きと、モダンさが同居する。玄関正面のフロント前には、良寬和尚直筆の金屏風があり、宿の雰囲気と融合するかのようにギャラリー、ラウンジ、クラブ、書斎(山本周五郎記念室)、売店がある。
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フロントから客室棟へと続く廊下を進むと趣が一変、昭和初期のレトロ空間が出迎えてくれる。ガラスの引き戸や廊下の石畳、そして隙間風(苦笑)。昭和生まれ(とはいっても40年代だが…)の私にとって、とても懐かしい光景が続いている。
部屋に入ると、どことなく懐かしい年月を経た木の香り…そう歴史ある神社・仏閣で感じる安らぎの香りが優しく出迎えてくれる。今の生活ではすっかりと失ってしまった空間だが、やはり和室が一番落ち着く。自分が日本人だと感じるこの瞬間が心地よい。
温泉は塩素消毒のない源泉かけ流しで、食事は朝夕ともに部屋出し。温泉宿の王道を頑なに守っている。世の中は不景気だけにこの業界も厳しい。環境や嗜好の変化にともない宿のサービス形態を変える宿も多いが、このスタイルだけは貫いて欲しい。
今回、学生時代の友人と20年ぶりの温泉旅行をしたが、蓮台荘を利用して間違いはなかった。詳細は他ページがあるので割愛するが、宿泊料金以上に満足度は高い。人に紹介できる宿はそうあるものではないが、蓮台寺荘なら間違いない。また訪れたい宿である。
残念ながら、再訪する機会なく平成28年3月末に閉館。素晴らしい温泉と料理を愉しめる宿だっただけに「残念」としか表現できない。
(2016.5 更新)
住所 | 静岡県下田市蓮台寺305 | TEL | 0558-23-0373 |
URL | http://www.rendaijiso.jp | IN:OUT | 15:00 : 10:00 |
宿泊料金 | 16,950円~ [2名利用 1泊2食付] | 立寄入浴 | 1,000円 |
客室数 | 和室 18 | 食事場所 | 部屋出し |
駐車場 | あり | 送迎 | 伊豆急下田または蓮台寺駅より送迎あり (要事前予約 14:00~18:00) |
主な泉質 | 単純温泉 | 温泉利用 | 源泉100%かけ流し |
浴場設備 | 内風呂・露天風呂・貸切風呂 | 塩素消毒 | 塩素消毒なし |