温泉新選組 > 新潟の温泉 > 松之山温泉 > ひなの宿ちとせ
ひなの宿ちとせは松之山温泉にある気品と風格が漂う老舗の温泉宿。館内は里山にある非日常をコンセプトに、ゆとりとやすらぎの雰囲気に満ちあふれ、館内の廊下はすべて畳敷き。立ち寄りではなく、一日ゆっくりと過ごしたい大人の宿である。
※ 下記 マークをクリックで、画像テキストを表示
新潟県松之山温泉。日本三大薬湯のひとつとして温泉通には名が通っている温泉であり、日本有数の豪雪地帯としても有名な地域である。東京からだと関越自動車道の塩沢石打ICから一般道を30kmほど走った先にある。
グリーンシーズンはまだしも、たった30数kmといえど豪雪地帯を走行する困難さはよく知っている。四駆スタッドレスでも侮れない。それが冬の山道なのである。
ちょっと大げさに思われるかもしれないが、それほどの覚悟をもって「松之山温泉に行こう!」と関越道の渋滞にハマっているときに決めたのであった。
ん? どういうこと?
じつは…この日、越後湯沢でスノーボードを滑ろうと思っていたのだが、あろうことか二時間の寝過ごし…結果、事故渋滞に巻き込まれ、スキー場への到着予定時刻が10時を過ぎようとしていた。
さらに、この日は栃尾又温泉で予約をとっていたので、スキー場を14時には切り上げるつもりでいた。着替えと準備を考慮すると、滑れるのは実質3時間。これでリフト代+駐車代はちょっともったいない。
そう考え導き出した答えが温泉めぐり。スノーボードはやめて、行きたくても行けなかった温泉に行けばよろし…ということで、松之山温泉に目標を定めたのであった。
三月初め、いくら暖冬とはいっても、やはり豪雪地帯。慎重に運転を…と思っていたが、山々と田畑には雪があるけれど、国道・県道ともに雪はなし。塩沢石打ICから1時間はかかるかと覚悟していたが、すんなりと30分少々で到着した。
温泉街の入口にはバス停を兼ねた広い駐車場があり、その先のなだらかな細い道に沿って温泉宿や土産物店などの建物が軒を連ねている。この駐車場に車を置き、ゆっくりと温泉街の散策もしたいが、今回は温泉に入ることが主題(もともとの主題はスノーボードだったけどね…)
栃尾又温泉までの移動時間を考えると、滞在可能時間は2~3時間というところ。急げば3軒まわれそうだが、ここはじっくりいきたい。そこで立ち寄り湯は2軒に絞ることにした。
松之山温泉にはいくつかの宿があるが、悩んで選んだ宿が「ひなの宿ちとせ」である。ほかにも「玉城屋」「凌雲閣」という魅力的な宿もあったが、最初で最後だったらどの宿に泊まりたいかと考えて決断。
もう1軒はあえて宿を外し、共同浴場「鷹の湯」を選ぶ。温泉宿と共同浴場の湯めぐり…い~じゃない!
ということで「ひなの宿ちとせ」(相変わらず前ふりが長いわっ)
「ひな」というのは「鄙」、都から遠く離れた田舎という意味だそうで、平たくいえば、田舎の宿ちとせということになるのだが、その佇まいはかなり立派。とても田舎の宿とは思えないほど品格がある。
大雪対策だろうと思われるが、玄関は10段ばかりの階段の上にあるが、その佇まいはシンプルだけど上質。まるで料亭のような趣き。いい宿というのは外観からオーラが漂っているもの。ここなら理想の休日を過ごせそう。
う~ん、泊まりではないのがちょっと…いや、かなり残念だ!
※ 下記 マークをクリックで、画像テキストを表示
館内の雰囲気もじつにいい。廊下はすべて畳敷きで、フロントロビーなどのパブリックスペースも、和風なのにモダンでスタイリッシュ。空間が広く清潔感もあって、じつに品がいい。いや~おそれいりました!
早速、立ち寄り湯をしたい旨を伝えると、料金はタオル付きで700円とのこと。正直なところ1000円はすると思っていたので、この設定はかなり良心的。また、ほんやらの湯(内風呂・露天風呂)に加え、月見の湯まで利用できるとのこと。
ただ月見の湯は男女入替制なので男性時間は13時から。ということで、浴場前にある貴重品ボックスに車のカギと財布を入れ、ほんらやの湯にお邪魔すると、まだ誰もいない。よっしゃ独泉!
浴場には油系の独特な硫黄臭と湯けむりがたちこめ、温泉情緒は抜群。内風呂はかけ流し循環併用ながら、塩素添加もなく(代わりにヨウドパウダーによる滅菌あり)お湯の状態もすこぶるよく、館内の雰囲気そのままに上品かつ清潔感にあふれている。
またサイドには寝湯スペースもあり、まるでミイラ状態(例えが悪いわ!)でじっくりと温泉を愉しむこともできる。中ほどには竹筒の湯口があり、鹿威しの「カッコーン」の直前のような感じで源泉が注がれている。
松之山温泉の源泉は85℃と高温。加水して温度調整しているとはいえ、湯口(内風呂・露天風呂ともに)から注がれる源泉も高温のまま。温度計で測ったわけではないが、手で触った感じでは60℃以上、もしかしたら70℃ほどあるかもしれない。
「熱い!」ということは、加水率も少ないことになるので、源泉そのままの状態に近いともいえるが、熱いものは熱い。直撃しないように注意は必要だ。
そして露天風呂はというと、まるで箱庭のような感じだが、温泉は源泉かけ流し。コンパクトな分、お湯の品質は秀逸といえる。こりゃたまりませんわ!
小一時間ほど温泉を堪能したが、ちょっと湯疲れ(成分が濃いので長湯は禁物だが)したので一時間ほどロビーで小休憩。そして13時きっかりに月見の湯に向かうことにした。
月見の湯は施設の三階にある。アプローチの階段や廊下はやはり畳敷き。いや~いいねぇこの感触。さらに浴場の入口もなかなか趣ある設え。う~ん、これもいいねぇ。そして渡り廊下も畳敷き。こりゃ~参りましたがな!
脱衣所は脱衣かごのみ。パウダールームがない分、至ってシンプル。ガラス越しには屋根のある広々とした露天風呂が見え、否応なしにテンションが上がってくる。
誰もいない…よっしゃ独泉!
こんな広い露天風呂を独り占めとはなんという幸運。イッヒッヒ…日頃の行いの賜物か?(こんな笑い方するヤツに賜るものはないわっ)
浴場は暖かな春の陽光がそそがれ、隅のほうに若干の残雪はあるが、ほぼ雪はない。雪見露天を期待していたが、これは自然が相手なので仕方なし。
それはともかく、爽快で開放的な露天風呂というのはとても気持ちがいい。ただ月見というけれど、時間的にお月見できるのは女性のみ。男女入替制なのが口惜しい。
もっともっと湯浴みをしたいが、次の湯(鷹の湯)に行かねばなんねぇ。いいフロほど時間が早く過ぎていく…
次来ることがあったらぜひ泊まりたい。帰り際、フロントでおひとり様でも大丈夫ですかと聞いてみると、「平日ならば15,000円ほどでお泊りいただけます。」とのこと。
う~ん平日かぁ…でもまぁしょうがないか。スノーボードに絡めれば平日でも来れるかもしれない。雪見露天も入りたいしね。
来シーズン頑張りますか!
(2016.6 更新)
住所 | 新潟県十日町市松之山湯本49-1 | TEL | 025-596-2525 |
URL | http://www.chitose.tv | IN:OUT | 14:00 : 10:00 |
宿泊料金 | 14,040円~ [2名利用1人料金] | 立寄入浴 | 10:30~15:00 [700円] |
客室数 | 和室 23 洋室 2 和洋室 5 | 食事場所 | 食事処 |
駐車場 | あり(25台) | 送迎 | ほくほく線まつだい駅まで送迎あり(要予約) |
主な泉質 | ナトリウム・カルシウム-塩化物泉 | 温泉利用 | かけ流し循環併用・源泉かけ流し |
浴場設備 | 内風呂・露天風呂・貸切風呂 | 塩素消毒 | 塩素消毒なし |